2020/04/01 08:00

Livistona Artist: 小川京子さん


PROFILEKyoko Ogawa

宮古島出身、 在住。「Studio ゆい」主宰。 亜熱帯に自生するヤシ科の植物、クバの新芽を編み、大作のオプジェからインテリア、ファッション雑貨まで、様々な作品を生み出す。 クバは沖縄では神様の依り代とされ、御嶽(ウタキ) と呼ばれる拝所や聖地に自生する。「クバに沖縄らしさを感じる。 神様の木 なのに、 民具、 おもちゃも作る。 その大らかさが好き。」と話す京子さん。近年少なくなったクバの木を増やし、 森を再生させるという夢を抱き、 草の根的な活動をつづけている。

「素材のままが一番美しい。 でもアートは神と人との共同作業だから。 人間の手が入って、 また別のエネルギーを発することができる」そう話す間も、クバを編む手は止まらない。




素のまま  Stay like that I the rescape 


かつて籐(とう)作家だった京子さん。 素材に均一性のある籐は作り手の意思を反映させやすい。 だが同じヤシ科でも、 クバはクバまかせにすることが多いという。 一見複雑に編まれたこの作品のタイトルが「素のまま」なのは、 その形状が一枚一枚異なるクバの意思に導かれたものだからなのかも知れない。 途中切ったり、 継いだりせず、 一枚もしくは二枚の葉を余すことなく使いきる。 知れば知るほどにシンプルで潔い作品だ。


銀河の龍神  Dragon God of Galaxy / the rescape


非日常を求めて訪れた the rescape のエントランスロビーで最初に出会う作品「銀河の龍神」 には、沖縄方言でティンバウ(虹・天の蛇)と、すでる(琉球の古謡オモロの言葉で、 日の出新しい始まり)のイメ ージが重ねられている。 龍は創造の神でもあるという。 escape, retreat, reset のイメ ージから名付けられたホテル名のとおり、 新しい自分との出会いを呼びさましてくれそうな不思議な魅力がある。


坐  Za I HOTEL LOCUS


HOTEL LOCUS のカフェレストランに 飾られたパネルアート「坐(ざ)」は、 宮古在住の方、 ホテルスタッフとの共同作業によって作られた。 作品のテ ー マは、若き日の京子さんの体験から生まれた。

琉球民族発祥の地とも言われる神の島、久高島のクバの森で1人考えごとをして いた。落ちた葉がフカフカに敷き詰められた地面に座り天を仰ぐと、真っ直ぐに 伸びる幹は柱、空を覆い隠すように茂る 葉は屋根のようで、まるで我が家にいるような心地よさだったという。「宮古にはハブがいない、だからもっと安心」。いつかこの森を復活させたいと願っている。